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そのまま京は1、2、3時間目と、何も授業を聞かずに寝続けた。
だがそれも4時間目、いつも数学の時間に終わってしまう。
「広瀬ッ!」
構わず寝続けていた京の耳元で、数学教師鈴木が怒声を飛ばした。
「は、はいっ!」
あまりの大音量に、熟睡していた京も思わず飛び起きる。その拍子に椅子が倒れた。
「広瀬ぇ~。お前、あの問題解いてみろ」
鈴木は如何にも不機嫌そうに喋りながら、黒板に書かれていた問題をその長いアゴで示した。そして持っていたチョークを手渡し、京の背中を押して黒板へと向かわせる。
黒板に書かれていたのは二次関数の問題だった。普段の京ならば解けないこともない問題だが、寝起きのため頭が回らないのか、京の手は止まったままだった。
「……わからないです」
弱々しく京はそう言った。
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