プロローグ

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見渡す限り海―――――。 ぽつんと何かとてつもなく大きいモノが浮かんでいた。その上には何羽もの海猫が留まっていて、ニャアニャアとやかましい声を出している。 もしかするとこの大きいモノは生き物なのだろうか、横に走る裂け目をパクパクと動かしている。おそらくこの裂け目は口なのだ。そしてそこから呼吸をしている。   その生物はゆっくりと口を開け始めた。すると何か異変に気付いたのか、海猫たちは一斉に飛び去り、方々へと散っていった。 直後、耳障りな金属音が大音量で鳴り響く。それに伴い大きな波がおきた。 波はその生物を中心に波紋のように広がっていく。多分音の発生地点はこの生物の口なのだ。 海猫たちは、あまりの大音量の為か気絶して海に落ちていった。波は無情にも彼らを呑み込んでいく。 次の瞬間、その生物は忽然とどこかへ消えてしまった。 そのうち波は収まり、海猫の鳴き声も聞こえない、静寂が辺りを包み込んだ。
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