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「今から五分後に前方の敵陣を焼夷(しょうい)弾で焼き払う。上手くやってくれ。あとから突撃する」
森の中で金属音と幾つもの靴音が響く。
「分かった」
真っ暗でよくわからないが、火が出た辺りから先が敵陣。
「あと、緊急時の為にコレを渡しておく」
肌色のボタンのような物を渡された。
「なんだ?コレ」
「小型無線機だ。耳にはめて使う。通信する時はイヤホンのボタンを押せ。マイクはイヤホン自身が自動的に集音するから必要無い。発信機の心配は無い。最新型の発信機はそのイヤホンより大きいからな」
つまり、発信機を取り付ける容量は持ち合わせていない――と言う事だ。全く……回りくどい。
そして右の耳にイヤホンを装着し、イヤホンのボタンを押した。
「あー…あー…」
P.T.T.
「よく聞こえる。行くぞ。あと30秒だ」
ツインナイフを取り出した。主役はお前だぜ?
シャキンッと鋏を閉開し、オレは前を見据えた。
「3.2.1………」
目の前が真っ赤に燃え上がった。
「作戦開始っ!!」
ヴァンの声を合図に、オレは飛び出した。
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