50人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ赤に燃える森を見てオレはジャンパーを裏返した。
ジャンパーはリバーシブルになっていて、裏返すと赤い迷彩になる。
炎の中、レンガの空間、赤い空間で効力を発揮する。
「いくらこの状況でも真正面から行ったら蜂の巣だよな……」
そう呟いてオレは炎の中に突っ込んだ。
「火を消せー!」
「水だー!」
「消火器を持ってこーい!」
なかなか慌ただしい陣営だ。
数は20人……もうちょっと多いか。
まさか飛び込んだ先がマンホールの穴だとは思わなかった。
騒ぎに紛れて地下水路から潜入するのはいとも容易だったし。
とりあえず状況は把握した。さっさとケリを付けるべくオレは鋏――ツインナイフを取り出す。
「おい」
「なんだ!今忙し……」
ザスッと喉に鋏を突き刺す。
「忙しいとこ済まなかったな」
血を払ってオレは更に敵を探す。
――身近に敵を発見した。
「…………」
オレは無言で敵に近付き、袖を掴み、地面に叩き付けた。
「がぁっ!」
右足で腹部を押さえて逃げられなくしてオレは腕を振り上げた。
頂点に達した腕を敵の喉に。
ブシッと血飛沫が散った。
「これだから…………」
敵の飛沫で汚れた口許を拭い、口の端を吊り上げて笑う。
「やめられねぇんだよ……ったく」
最初のコメントを投稿しよう!