50人が本棚に入れています
本棚に追加
「何か使えるモノ……」
オレは水溜まりならぬ血液溜まりに埋まった亡骸をボディチェックしていく。
「……非常食が一缶と……アサルトライフル用の弾が90発……弾はいらねえな」
何か兵士特有のモノがあれば(例えばチームの作戦書とか)迂回路を選べたんだが……無線はこのご時世。発信機が付いていたらおじゃんだ。
「とりあえず森を突っ切るか」
真正面に広がる森を見た。左右はどちらも見通しが良過ぎる。
「装備確認しとくか」
オレはポシェットから武器――ナイフ、デザートイーグルを取り出した。
「これだけなんだよなー」
ちなみにデザートイーグルに実弾は入れていない。火薬のみ。脅しには十分すぎる代物だ。
「銃は嫌いなんだがな」
さっきの鋏――ツインナイフを取り出す。
「オレの美学に反する」
左手で自殺志願を彷彿とさせる鋏をクルクル回し、構えた。
シャキン!と小気味いい音がする。
ちなみにオレは左手で鋏を持つ。
右手には多少ゴツい手袋をしていて、握るのには適していない。
指出しの手袋。甲の部分に鉄板が施してあり、何かを入れる穴が開いている。
「行くか。集団で見つかりませんようにー……」
オレは内ポケットに鋏をしまい、ジャンパーを閉め、森に入っていった。
最初のコメントを投稿しよう!