昔々…

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 まぁ、住んでいないと話は始まらないわけで…。  取り敢えず、どっかの国のどこかの田舎にどっかの老夫婦が住んでいましたとさ。      お爺さんは山へ芝刈りに行くと見せ掛けて、危険度SSSクラスの巨大竜を狩りに、お婆さんは川に洗濯に行くと思いきや、川に潜む危険度SSクラスの巨大殺人魚を捕獲しに行きました。  お婆さんが依頼を済ませて、川原で休んでいると、川の上流から激流に乗って物凄い速度で、直径2mはあるだろう桃が流れて来るのをお婆さんの眼は捉えました。    「これは…私に対する桃の挑戦だね!!」    …と言い、お婆さんは激流の中に仁王立ちになり、桃を迎え撃ちました。    「……ふん!!!」    お婆さんは全身の力を込めた強烈な右アッパーを桃の下部にクリーンヒットさせ、物凄い水飛沫と共に、見事桃を川原へと撃ちだしました。    「…やるじゃないかい…私の最高の拳を受けても無傷とはね…。」    そう、お婆さんの拳は最新式戦車の分厚い装甲をも撃ち貫くほどの威力を持っており、この拳こそが前大戦で《至高の貫通弾》の二つ名と共に全世界に知らしめた力なのです。  大戦中、戦車300両を含む軍隊を一時間で壊滅させた話はあまりにも有名である。    「いい戦利品が手に入ったよ。」    そのまま桃を片手で肩に担ぎ、お婆さんは自宅へと帰って行きました。
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