ピアノ~2~

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いつもの様に俺達は音楽室にいた。俺は今日の事を聞いた。 『何で本当の事を言わなかったんだ?』 「こんな根暗だよ?知られたくなかったの。ごめんなさい」 『いいよ。本当の名前分かったし。それより恵、引っ越すのか?』 「何で?」 『いや…』 それ以上は聞けなかった。いや、聞くのが怖かった。 もし引っ越すと言われれば…。 そんな俺の心を知らず彼女は笑っている。それからいつもの通り時間は過ぎていった。 俺は彼女の前では本当の俺を見せられるような気がした。 何年振りかに人前でピアノを弾いた。彼女は何も言わずただ見つめているだけだった。弾き終わると彼女が一言…。 「風のようね」 『風』初めて言われた言葉だった。大抵、「さずが」とか「似ている」そんな言葉ばかりだった。 ただ嬉しかった。
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