ピアノ~1~

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「今日は歌のテストをします。では雨宮 恵(アメミヤ メグミ)さんから」 「はい」 聞き覚えのある声がした。歌で気付いた。間違いなく彼女だった。 いつもより大分抑え目で歌っていたが間違いなかった。歌い終わり彼女は俺の方を見て薄っすら笑った。 「あいつ何笑ってるんだ?」 「気持ち悪いやつ…」 「誰見てんだよ。マジきもい」 「根暗はこれだから気持ちが悪いよな」 彼女はクラスでは目立たないタイプで影では「根暗」といわれている人物だった。 でも何で本当の名前を言わなかったのか疑問になった。 授業が終わり先生と彼女が話しているのを聞いてしまった。 「雨宮さん、もっと声出して良かったのよ。先生は、皆に聞かせて欲しかったわ」 「ある人にだけ本当の声を聞いて貰えればいいですから」 「あら…。お父様とお母様はいつお戻りなられるの?」 「来月に一旦戻ってくるみたいです」 「そう…」 先生は悲しそうな顔で最後に返事をした。 まさか、何処かに行ってしまうのか?
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