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「今日は歌のテストをします。では雨宮 恵(アメミヤ メグミ)さんから」
「はい」
聞き覚えのある声がした。歌で気付いた。間違いなく彼女だった。
いつもより大分抑え目で歌っていたが間違いなかった。歌い終わり彼女は俺の方を見て薄っすら笑った。
「あいつ何笑ってるんだ?」
「気持ち悪いやつ…」
「誰見てんだよ。マジきもい」
「根暗はこれだから気持ちが悪いよな」
彼女はクラスでは目立たないタイプで影では「根暗」といわれている人物だった。
でも何で本当の名前を言わなかったのか疑問になった。
授業が終わり先生と彼女が話しているのを聞いてしまった。
「雨宮さん、もっと声出して良かったのよ。先生は、皆に聞かせて欲しかったわ」
「ある人にだけ本当の声を聞いて貰えればいいですから」
「あら…。お父様とお母様はいつお戻りなられるの?」
「来月に一旦戻ってくるみたいです」
「そう…」
先生は悲しそうな顔で最後に返事をした。
まさか、何処かに行ってしまうのか?
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