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『ん、なに見てんのよ、不良さん』
不思議そうにこちらを見ている俺に、少しお怒りのご様子で聞いてくる霧中
「いや…お前ってやっぱり大変だなぁって思ってさ」
『当たり前よ。私は生徒会長よ?どこかで暇を持て余しているどっかの誰かさんとは違うのよ』
「確かにそうだな。俺とお前じゃ“釣り合わない”な」
生徒会長と不良学生…どう考えても釣り合わない。自分の立場的にも、人物的にも
『釣り合わない…か…確かにそうよね…私とアンタだもんね。釣り合うはずないよね』
独り言のようにそう呟いた霧中の表情は、とても曇っていた
「まぁほどほどに頑張れよ。あんま頑張りすぎると、いつか倒れるぞ」
「余計なお世話よ!」
そう言い放った霧中は、あんたも早く教室に戻りなさいよ、と言って、自分も教室に戻っていった
今更授業なんか受ける気はさらさらない俺は、このまま帰ろうと職員室から出ようとした
しかし、後ろから聞き覚えのある鳴き声が聞こえて思わず立ち止まった
『…んにゅ~…』
後ろを振り返ると、両手に鞄を持った秋住が、泣きそうな顔をしながら、んにゅ、んにゅ、と唸っていた
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