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「お前…まだいたのか」
てっきり俺は先公達に連れられたかと思っていたので、ここにいたのは意外だった
『んにゅ~…だってぇ、今まであそこに隠れてたんだもん』
んにゅ~と泣きながら、秋住は職員室の隅っこを指差した
そこには掃除用具などをしまうロッカーが置いてあった
「確かに人1人分は入れるが…なぜ隠れたんだ?」
わざわざ隠れる必要はないだろうに、と俺は付け足した
『その場の勢いってゆうか…思わず隠れたってゆうか…んにゅ~どうしよう~今から教室入れないよぅ~』
「なら帰ろう。明日また来ればいい」
そうだ、明日がある。今日がずっと続くわけじゃない。
どんなに嬉しい時間や悲しい時間も、やがて音もなく終わりを告げて、新しい明日に向かって時間は動く
『…でも、帰ったらお母さんが…』
どうやら母親に怒られることが恐いらしい
秋住は、その場にうずくまって、どうしようか考え始めた
「怒られることぐらい、いいじゃないか。…俺の母親は、怒ってもくれないんだぞ」
『…え?』
「…なんでもない」
また、母さんのことを思い出してしまった
今日はやけに母さんを思い出す
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