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『それじゃ私達、お隣りさんだねっ!んにゅ~なんだか嬉しいな~』
本当に嬉しそうに満面の笑顔ではしゃぐ秋住だが、俺はその逆だ
これから面倒なことが色々起こるのは間違いないだろう
『ねっ!それじゃ私ん家行こっ!』
一際デカいため息を漏らす俺を尻目に、秋住は俺の腕を引っ張り自分の家に入ろうとする
色々なことが起こりすぎて、力の抜けてしまった俺の身体は、軽々と秋住の手によって引きずられてしまった
『ただいま~』
『あっおかえりなさい』
秋住の家の中に入ると、普通の家庭と変わらない風景が映った
今は調理中なのだろうか、奥の方から秋住の母親の声とともに香ばしい匂いが漂い、俺の鼻を刺激した
『この匂いは…私の大好きな揚げドーナツだ!やった~!』
「あ、おい!…」
大好きな食べ物の匂いを嗅いで、さらに上機嫌になった秋住は、靴を乱暴に脱ぎ捨て、俺を置いて奥に行ってしまった
「…俺を置いてくなよ」
一人取り残された俺はどうすることもできず、ジッとその場に立ち尽くしているしかなかった
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