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『うわぁ、ここ、広いねっ!』
学校の敷地内をキャッキャッと回る秋住
紅の色をしたその短い髪は、この季節にピッタリではないだろうか
「おい、あんまりはしゃぐな。余計に目立ちたくなかったらな」
すでに何人かの生徒はこちらをチラチラ見てはコソコソと話している
これは仕方のないことだが、建物内に入ればさらにこの視線が待っている
できるだけ早く職員室に辿り着きたいもんだ
『うわぁ、みんな私を見てる…エヘッちょっと照れる』
「ちょっと照れるで済むんならお前はとても凄い奴だ」
『エヘッ私、凄い奴!』
「…お前、バカな」
『な、なんで~?私凄い奴だよ~?』
そんなことを話しているうちに、学校の建物内に入った
中に入ると、生徒達が友達同士で話していたりなどして、昼休みの時間を満喫している
この話し声や雑音が、俺はたまらなく嫌いだ
楽しそうな話し声が耳の中に入ってくるたび、自然と苛立ちが募っていく
しかし俺達が入って来ると、その話し声がピタリと止まる
みんな驚いた表情でこの転校生を見ているのだ
それと同時に俺を見て、俺と秋住を見比べている
『…やっぱり、恥ずかしいかな』
「…行くぞ」
俺達は驚きを隠せないでいる生徒達の視線を浴びながら、職員室までの道のりを急いだ
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