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プロローグ
「今日もお疲れさま、春くん」
耳に心地よい穏やかな声とともに、俺の目の前にコーヒーの入ったカップが置かれる。
「ありがとうございます、美月さん」
そう口にしながら、コーヒーを飲む。
午後九時を少し回った喫茶店には、カウンターに立つ美月さんと、その正面に腰掛ける俺しかいない。
しばらく無言で、すっかり飲み慣れたコーヒーを飲んでいると、不意に、美月さんが口を開いた。
「もう一ヶ月にもなるんだね……春くんが、お手伝いに来てくれるようになってから」
確かに、言われてみればそれくらいだ。
どこか感慨に浸るような美月さんの口調に感化されたのか……気がつけば俺は、初めてこの喫茶店を訪れた日のことを、思い出していた……
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