傘

酔っていた。

居酒屋で飲んで帰る途中に雨が降り始め、とあるお店の入口で雨宿りをすることに。その時は気が付かなかった。そこに赤い傘があるなんて。

どんどん雨が強くなる。

「参ったな。傘は会社だよ」

未だ近くにある傘に気付かず――と、その時光に包まれ、その根源を見た。

「おっ。ラッキー」

酔っていたので何故傘が光ったのかを考えなかった。

足早に家路を急ぎ、家に着くと、傘を玄関の傘立てに置く。

寝室に入り、すぐに寝入った。

朝、目を覚まし、傘立てを見る。

昨日の傘が無くなっていた。

昨日雨宿りした場所へ行くと傘があり、光を放った「雨に濡れなくてよかったね」と言っているように。