彼は憎悪に絶対服従

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‐Side‐ ‐Motoya Kobayashi‐ 今日はなんか嫌な予感と言うものを、今まで以上に感じていた。 嫌な予感と言うものは本当に、この上なく当たってしまう。そんな俺は占い師の才能があるのではないのか。 俺は、1ヶ月程前からよく母と父が夫婦喧嘩をしているのに、気付いてしまった。最近ではその夫婦喧嘩が激しくなっていって、危機感を感じていたが、もう両方にもう限界が近付いているようなんだ。 俺はと言うと夫婦喧嘩を止める勇気が無くて――いや、止めた事は何回もあったのだけど、止まる気配は無かった。次第に俺が、二人の夫婦喧嘩を止める気力を無くしてしまっている。 それが今では後悔してきているのは、気のせいでは無い。 何故今まで、二人を徹底的に話し合わす事が出来なかったのだろう。 何故、二人の関係を取り持つ努力をしなかったのだろう。 何故、二人の夫婦喧嘩を止める事を諦めてしまったのだろう。 渦巻く後悔と自責の念が、俺を苦しめていた。思わず俺は、読んでいる本を投げ捨てて、布団に体を巻き付ける。ギュを力を思わず入れると同時に、母が俺を呼ぶ声が聞こえた。 俺は立ち上がると、自分の辺りを見回した。昔二人が仲良かった時、俺が小学校に入ったばっかりの頃だったと思う。俺の入学祝か何かで、この木製の机を買ってくれた。 艶と言うのか、ニスのようななにか膜のようなものが塗りたくられていて、木の独特のザラザラ感が無いツルツルとした机。 その左横に存在するベッドは、俺が小学校三年生位の時の誕生日に頼んで買って来てくれたものだ。テレビが窓際に置かれていて、ゲーム器がテレビの周りに散らばっている。 部屋の端には乱雑に積まれた漫画や小説が、ピラミッドを作っていた。 一瞥すると、もしかしたらこの部屋に居れるのは、最後になるかもしれないんだと思うと、気分が落ち込んだ。
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