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数学の授業中、板書をしていた鈴木先生が力を入れすぎたのかボキリとチョークを折った。
先生は小さくなってしまったチョークをポイと横に置いて、白墨いれをカチャカチャいじる。
新しいチョークが使いたいらしい。
でも、あるのは折れた小さなものばかりらしく、結局諦めてクルリと振り返った。
…目が合う。
…まずい。
私は慌てて教科書を立てて顔を隠した。
「なあなあ。チョーク。」
「…。」
「チョークがない。」
見えません。
聞こえません。
私は問題を解いてるんです。
ああ、忙しい。
「朝倉。チョークがない。」
飛んできたチビチョークが教科書にスコーンと命中して倒れる。
おかげで倒れた教科書が私の鼻にぶち当たった。
「痛いじゃないですか!?」
1番前の席に向かってチョークを投げ付けるとは極悪だ。
私は鼻を抑えて訴えた。
「無視すんな。」
「チョークぐらいその折れたの使えばいいでしょう。もったいない!」
チョークを次々と折って新しいのを使いまくるのは鈴木先生本人なのだ。
ちょっとは我慢して折れたのを使えばいいと思う。
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