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私は喉をこくっと鳴らしてそっと両手を上にあげた。
空を抱くように。
自分の胸に真っ赤な空を取り込んでしまうように。
この瞬間だけ、私は空になる。
私と空を遮るものはなく私は空に誰よりも近い存在になるのだ。
赤く 紅く 溶けていく
それはなんて心地良い一体感だろう。
いつものちびな私にはとても無理なこと。
フェンスや物影に遮られてちびな私はいつも遠い空しか知らなかった。
これほど空が近くなるとは知らなかった。
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