第 壱 章:tag

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「ひぃ…!」 前方に黄色い二つの光。 あれが鬼の目なのだと理解した。 目がおかしくなったせいか、その光が眩しかった。 一瞬だけ見合い、鬼がゆっくりと近づいてくる。 「一つ聞かせてくれ」 勇気を出して聞いたその声は、振るえていた。 鬼からの返事は無く、一歩一歩こちらに近づく。 「目的は…何だ」 叫んでるわけでも無いのに、振るえる声は非常に大きく聞こえた。 答えは無く、ただ近づいてくるだけ。 背中を壁にくっつけ、鬼を見る。 生唾を飲む音がやけに大きく聞こえた。 鬼が近づく度に心拍数が上がる。 正面に来た時、光っている目が眩しくて目をつぶってしまった。 「これが鬼の……遊びだ…」 鬼は一言囁いたがその時、この迷路で生きている者はいなかった。
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