Lesson.1

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「他に、誰かいるの?」  詩織の問いに、男は大変面倒臭さそうな答えを返した。そして、明らかに馬鹿にしたような、呆れを含んだ目で彼女を見たが、詩織は気にせず、さらに質問を重ねる。 「……さっきの曲は、私のために母が作ってくれた曲なんです。……今、私以外に知っている人はいないはずです」 「そうだね……観月由紀子が死んだ今は、ね」 ……やっぱり、知っていた。  今度は男をキッと睨みつけて、詩織は尋ねた。 「あなたは、一体誰なんですか?……母さんのこと、知ってるんですよね?」  ところが、問い詰める詩織の言葉には全く動じず、男はなぜか疲れたような溜息をつく。 「……まさかとは思ったけど、本当に覚えてないんだね?」 「はい?」 「……まあ、いいよ。今更何を言ったって仕方がない。……それに、それはそれで面白いから」 .
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