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「俺はわかってるから。お前が三橋だって…だから泣くな」
俺は小さい温もりにそっと手を伸ばし人差し指で頭をなでた。ピチチッと鳴いた三橋が俺の手にすり寄ってきた。
「やべぇ阿部が壊れた」
「三橋が居なくなったショックか?」
小鳥に向かって話しかけている俺が奇異に見えているのだろう。
なぜか俺だけ三橋の姿を認識しているらしい。
クソッ。俺が頭おかしいみてぇじゃねぇーか。
ピチチッ…
小さい声で鳴く三橋は俺の手のひらで小さく震えた。
「あ!田島。三橋のこと聞いているか?行方不明なんだよ」
花井が俺のことを見て見ないフリをしながらグラウンドにやってきた田島に走り寄った。
「三橋ぃ?行方不明ぃ??」
田島が抜けた声を出す。そしてキョロキョロと視線を動かした後、俺を指さした。
「そこに居んじゃん」
「いや、それは阿部だから」
俺を指さしている田島を否定する花井だが田島はそんなことを気にせずまっすぐ俺に向かって歩いてきた。視線は俺の手のひら……
ということは……
「お前にもわかるのかっ?」
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