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さっきキスしたとき流れ込んできた感情と言葉。
『俺、阿部君が…好き……だっ』
本当の三橋の気持ちなのか?好きには恋愛のそれが含まれていると感じた。それなら俺の気持ちは…
「三橋。好きだっ」
とっさに握りしめた三橋の手が少し冷たかった。けれどその指先は次第に熱を帯びて俺の熱と溶けあった。再び触れた唇は柔らかくて暖かかった……
なんだと?朝起きて鳥の姿を見て、もし自分が鳥だったら修ちゃんにすぐに会いに行けるのにと思ったぁ?
その瞬間、身体が小鳥になったと。
つまり、叶に会いたくて鳥になったってことかぁ?
俺はガクッと肩を落とした。
「で…も……俺のっ…一番は阿部君だ……よっ」
そう言いながらキョロキョロと挙動不審な動きをしてから俺の頬にチュッとキスをしてきた三橋が可愛かったので良しとするか。
けど……俺が三橋を判別できた理由は何となくわかる。が、なんで田島にだけはわかったんだ?
田島に聞いてみたら本人はあっけらかんと言い放った。
「俺、草が水欲しいって言ってるのとか、動物のことも何となく理解できるぜっ」
コイツには勝てない、そう思わずにはいられなかった。
《終》
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