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先程まで草の繁っていた草原は真っ黒な荒れ地となりその上には真っ黒に焦げた肉の塊が散らばっていた。
俺はこの世の地獄のような光景の中一人生き残っていた。
いや、違う。生かされていた。
他の隊員達は皆殺しにされたというのに、また俺は一人で生きている。
「フフッ……後は君だけだよ練君」
いや一人ではないか、俺の少し前には彼らを殺した男とみられる敵が立っていた。
男は黒いマントとフードによって顔を隠しており、まるで一年ほど前から現れた魔法使いの格好をしていた。
いや、あの銃弾の効かない白い幕のようなものを使ってる時点で奴は魔法使いなのだろう。
だが奴はなぜ俺の名前を知っているんだ?
俺の名前は自衛軍の中ですら余り知られていないと言うのに。
「ふふふ、やっぱり名前を知っているのが不思議かい?」
とりあえずここにいては仲間の二の舞になる。
俺は生き残るために近くの岩に隠れることにした。
撹乱のためにすでに効かないとわかってるライフルを奴に向かって撃ちながら岩影まで走る。
俺だって二年間もこの狂ってる戦場の中で生き残ってきたベテラン兵士だ。
そう簡単に殺されるつもりはない。
「フフッ……かくれんぼかい?まあせいぜい足掻きなよ。まあそれにどうせ死ぬんだし俺が来た目的ぐらい教えてあげるか」
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