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「成人って、あと六年くらいしかないよね?ふふ、成長が楽しみ♪夜彦、絶対早夜に似て格好いい子になるよ♪」
「買い被り過ぎですよ。ですが…あの子も喜びます」
「私も弟欲しくなっちゃった♪早夜、夜彦のことになると凄く綺麗に笑うね」
早夜の顔がボッと赤くなり、雪は嬉しそうに笑う。
「私、早夜のそんな笑顔好きだよ」
「ゆ、雪巫女様っ」
「あははっ♪…ねぇ、早夜」
「はい?」
「……春に…会いに行ってもいいかな?」
雪は伏し目がちに口にした。早夜は一瞬目を丸くして、優しく笑った。
「私は大婆様ではありませんから、雪巫女様の望みに反対したりはしませんよ。雪巫女様の思うがままになさいませ」
雪の顔はパァッと明るくなり、早夜の手を握り締める。
「ありがとう早夜ッ…!!」
満面の笑みを浮かべる雪の姿に、まだ雪が『少女』であるということを、早夜は改めて実感する。
雪は足早に道を急ぐ。向かうは村の外れに位置する、他の民家より少し大きな一軒の茅葺き屋根の家。
その家が雪の視界に入ると、雪は駆け足で家へと向かった。
庭先に足を踏み入れる。速い鼓動を抑え、呼吸を整え、辺りをゆっくりと見渡した。まるで今眼前にある光景を瞳に焼き付けるように…。
「久しぶりに来たけど…よかった、前来た時と何も変わってない…」
一人微笑みながら呟く雪に追いついた早夜は、雪の背中を見つめた。
「時間がありませぬ。早くお会いして戻らねば」
「そうだね。早夜、待っててくれる…?」
不安気な面持ちで振り返った雪に、早夜は頷いた。
「雪巫女様の仰せのままに」
早夜の微笑に、雪は泣きそうな顔で笑い返す。
「…雪……?」
背後から聞こえた自分の名を呼ぶ聞き覚えのある声に、雪は振り向いた。
予想通りの人がそこにいて、雪は破顔する。
「春…っ…!!」
お互いに駆け寄り抱き締め合う二人。
「どうしたの!?宮を出れて…ここまで来るなんて!!」
「会いたかったの!!会って…さっきのこと、ちゃんと謝ってお礼言いたくて…っ」
「雪…」
「ごめんね…ごめんね、春…私のワガママで春がいつも大婆様から怒られて…。でも私久しぶりに村から少し出れて、本当に嬉しかった!!」
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