家族、分離、異種

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雪は、自分を真直ぐ見つめる来夜の真紅の瞳に一瞬見惚れる。それから黄金色の髪にも。 「来夜くんの瞳と髪はホントに綺麗…。血のようで不気味とか夜叉のようだと大婆様はあなたを恐れているけど。その髪は太陽と同じ色だし、瞳はまるで宝石のようで…私は凄く好きなのよ?」 雪の言葉に来夜はキョトンとした表情をした。そして自分の髪を摘み上げ、自分の目先でクルクルと動かしたり翳したりした。 パッと髪を離すと、来夜は嬉しそうに顔を綻ばせた。 「ありがとう、雪」 「……えっ…!!?」 声変わりをしたばかりのような、低めで掠れ気味の声。 名前以外を口にしたことがない来夜が、久しぶりに話したのだ。 これには雪だけじゃなく、輝夜丸も反射的に声をあげて来夜を見た。 「来夜くんが…話した…」 雪が呆然と口にする。 来夜は二人の驚きに気付いてないようで、さもそれが当たり前のようにニッコリと雪に笑いかけた。 「輝夜丸!!今の聞いたよね!?来夜くん、私に『ありがとう』って…!!」 「は、はい…っ」 雪は興奮しながら輝夜丸を振り返る。輝夜丸も戸惑った様子で頷いた。 「嬉しいっ…!!来夜くん、私こそありがとう!!これからもいっぱい…いっぱい話してね!?」 来夜の手を握り返し、輝く瞳を向ける。そんな雪に来夜は、はにかんだような笑みをして小さく首を縦に振った。 ハッと我に返った輝夜丸は、手を握り合う二人の姿と、来夜が雪を呼び捨てにしたことを思い出し、徐々に怒りが湧いてくる。 怒り…と言うか、単なるヤキモチだ。 「雪巫女様、そろそろ就寝の時分にございます」 「え、でも…」 「陽は沈み、辺りは暗くなってまいりました。早く戻らねば、蝋燭の灯も長くは保たぬかと」
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