少女、力、運命

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「今からお風呂行くけど、阿婪も行く?」 「ありがと♪でも遠慮するわ。私の存在はあまり人間に知られちゃいけないの」 「そう、残念ね。じゃあ戻ってくるまで待っててくれる?阿婪の話は楽しいから好きなの」 「あなたが望むならいくらでも♪いってらっしゃいな」 「うんっ!!」 雪は満面の笑顔で部屋を出て行く。その姿はまだあどけない少女だった。 阿婪は雪が出て行った襖を見つめて呟く。 「まだ…あんなに子供なのにね…雪」 誰に言うわけでもなく目を伏せて、阿婪はフッと姿を消した。 雪が湯殿に行くと、えんじ色の袴を着けた巫女の女性が床に座り頭を下げた状態で待っていた。 その姿を見て、雪は慌てて駆け寄った。 「ごめん、早夜(さや)!!寒かったでしょ!?」 「いえ、大丈夫です」 「ごめんなさい…待たせちゃって。ほら、早く立って!!床は冷えるからっ」 「はい…雪巫女様がそうおっしゃるなら」 早夜と呼ばれた女性はスッと立ち上がる。立てば雪より身長が高く、その顔は美しく整えられたものだ。長い髪を後ろで緩く束ね、その姿勢は凛として正しい。 早夜の手を優しく包み、雪は顔を俯かせる。 「こんなに冷えて…早夜も湯船に浸かって?」 「そ、そんなこと…っ!!私などは雪巫女様とは違います!!この湯船は雪巫女様の為、清き水と薬草によって作られたもの…私などの身分では入れませぬ!!」 「またそんなこと…身分などないでしょ?あなたも私も同じ人間じゃない」 「そのようなことはございません!!雪巫女様はこの地に選ばれたお方でございます。私には生きるものの傷を癒すことなどはとても…」 「早夜…」
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