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……だけどそんなわたし達の心配も、マロはどこ吹く風って感じで。
「マロー……ちゃんと歩けぇ!」
「にゃーあ」
いつもそうだ。
おっとりしてるからなのか、わたしに似て出無精なのか。
いつも散歩の途中で座り込んで、全く歩かなくなる。
「……マロ、そんなんじゃいつまでたってもデブのままだぞ」
「にゃーん」
とりあえずアイスを食べ終える。『早く抱け!』と言わんばかりに座り込むマロを持ち上げた。
「重っ……」
また太ったよこいつ。
嬉しそうに喉を鳴らすマロの毛が、ふわふわとわたしの首もとをくすぐる。
初夏と言っても、まだ少し夜は冷え込む。
半袖半ズボンという素晴らしくラフな恰好で、アイスを食べていたわたし。
マロの体温と柔らかな抱き心地がありがたい。
「今日は月が丸いね。マロみたい」
マロの温かさに感謝しながら夜空を見上げると、そこには綺麗な月が浮かんでいた。
まだ満月とまではいかないけど……もう少しで、それは綺麗な円形になりそうだった。
「にゃあー!」
「あ、ごめん」
月に見とれてうっかり腕の力を緩めてしまい、マロがわたしの腕からずり落ちる。
慌てて夜空から視線を落とすと、ある人物がわたしの視界の端に映った。
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