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「さあ、通報されたくなければ夢を返して!」
ギッと睨みつける少女の目線を真っ正面から受けて、
ナイは少々後ずさった。
が、押されながらも少女を睨み返し、ナイと少女の戦いが続く。
数分の時間が過ぎ、ナイがため息と同時に降参のポーズをとった。
「……分かったよ」
「! じゃあ……」
「その代わり、返すのはお前の夢だけだかんな!」
「あんたらじゃないんだし、別に他人の夢なんて要らないわよ」
そう憎まれ口を叩きつつ、少女は安堵の息を吐いた。
「……で、お前の夢ってのは
……悪夢だったら追いかけてまで取り戻しに来ねぇか、陽の夢だな」
自分の持っていたずた袋を探るナイの問いに首を傾げ、少女は聞き返した。
「それが何よ?」
「好みの問題だ。俺は陰の夢――悪夢の方が好きだから、お前の夢はきっとライが持って……」
言いながら顔の向きを変え、ナイの動きが止まる。
満足そうに寝っころがるライ、
その隣には空のずた袋。
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