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先ほどの勢いはどこへやら、
ナイが部屋の隅でいじけだして喧嘩は終了した。
二人の壮絶な事実に冷や汗をかきつつ、少女はためらいながら口を開く。
「も……もういいわよ、
なくなっちゃったものは……しょうがないもんね」
だが、うつむくその顔には失望感が浮かんでいる。
ライはぶたれた頭をさすりながら少女に近づいた。
「……そんなに大事な夢だったノ?」
コクリと頷く少女に、しばらく考えてまたライは尋ねる。
「それって、夢自体ガ?
それとも夢に出てくる男の子ガ?」
その問いに目を見開き、少女の顔は途端に赤くなった。
「なななな、なんであんたがそんな事!」
「一応食べた夢だモン、内容は全部分かってるヨ」
兄弟? 友達? それとも恋人? と興味津々に聞いてくるライに圧されながらも、
話していい相手だと判断したようだ。
少女はポツポツと喋り始めた。
「私が住んでる田舎町にいた子。
お互い星が好きだったから仲良くなったの。
夢の内容は、町のお祭りの時にこっそり抜け出して二人で星を見に行った、本当にあった事よ。
彼は両親の転勤で二年位しかいなかったけど、あの時程幸せだった頃ってなかったなぁ……」
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