2,ライとナイ

8/11
前へ
/88ページ
次へ
先ほどの勢いはどこへやら、 ナイが部屋の隅でいじけだして喧嘩は終了した。 二人の壮絶な事実に冷や汗をかきつつ、少女はためらいながら口を開く。 「も……もういいわよ、 なくなっちゃったものは……しょうがないもんね」 だが、うつむくその顔には失望感が浮かんでいる。 ライはぶたれた頭をさすりながら少女に近づいた。 「……そんなに大事な夢だったノ?」 コクリと頷く少女に、しばらく考えてまたライは尋ねる。 「それって、夢自体ガ? それとも夢に出てくる男の子ガ?」 その問いに目を見開き、少女の顔は途端に赤くなった。 「なななな、なんであんたがそんな事!」 「一応食べた夢だモン、内容は全部分かってるヨ」 兄弟? 友達? それとも恋人? と興味津々に聞いてくるライに圧されながらも、 話していい相手だと判断したようだ。 少女はポツポツと喋り始めた。 「私が住んでる田舎町にいた子。 お互い星が好きだったから仲良くなったの。 夢の内容は、町のお祭りの時にこっそり抜け出して二人で星を見に行った、本当にあった事よ。 彼は両親の転勤で二年位しかいなかったけど、あの時程幸せだった頃ってなかったなぁ……」
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加