10人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒラリ、ヒラリ。
宙を舞い、二人の少年が夜空を駆けていた。
それぞれの肩にはずた袋が一つ、どちらもパンパンに膨れている。
「ヒュー!
今日は珍しく大量だったネ!」
前を行く長身の少年が喜びの声をあげた。
ヘッドホン模様の特徴的なナイトキャップをかぶっている彼は、
スキップで空を軽やかに跳ねていく。
大量というのは、ずた袋の中身を指しているようだ。
「調子乗るなよ、ライ。
どうも悪い予感がする」
ライと言うらしい少年の浮かれた言葉を、
後を追う小柄な少年がたしなめた。
Zマークの入ったナイトキャップをかぶるその顔色は、普段からなのか、かなり悪い。
「またまたぁー、ナイの悪い予感は当たった試しないジャン!」
「遊びすぎるなって言ってんだ!
それに、当たった事だってある」
「四六時中言ってりゃ当たるに決まってるサ!
それよりホラ、俺っち達の家が見えてきたヨ!」
ナイと呼ばれた小柄な少年の言う事を否定し、ライは斜め上を指差した。
二人が飛んでいる所から数百メートル前、
数十メートル上に赤い屋根の家がポッカリと浮かんでいる。
「あそこに帰ってご飯食べてくつろぐだけなのに、何を悪い事が……」
最初のコメントを投稿しよう!