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「私の夢を返して!」
開口一番、少女から放たれたセリフに
ライとナイは顔を見合わせた。
少女が何か言おうにも息を切らせすぎて喋れず、
とりあえず二人の家で茶を薦めた矢先の事だった。
「エーット……」
「夢……ねぇ」
頬をポリポリとかく二人に、
少女がコックリと頷く。
「私、ついさっきまで夢を見てた。
とっても素敵な夢だったのに……
いきなり周りが真っ白になったと思えば、あなた達が逃げてったのよ!」
少女の激しいセリフに、ナイはじろりと隣のライを睨んだ。
「ライ、お前またタイミング間違えたな!」
「眠りの調節はナイの仕事でショー?」
「お前が俺の合図聞いてねぇからだろ!」
口笛を吹いてごまかすライにため息をつきつつ、
ナイは少女の方に向き直った。
「あー……とにかくだ、こっちも仕事なもんでな。
夢を盗んだのは悪かったが、俺たちに目ぇつけられたのが運の尽きって事で、諦めてくれ」
「ちょっ……冗談じゃないわ、私の夢は私の物よ!
それに、夢を盗む仕事って何よ?
見た事も聞いた事もないわ!」
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