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憤慨して机を叩く少女を見て、
「これだから人間のエリアに入るのは嫌だったんだ」
と顔を反らすナイの背後から、
「そりゃそーサ、
俺っち達『夢魔(むま)』はこっちに来るのは禁止されてるもんネ」
とライが元気に割り込んだ。
「夢魔……?何よそれ?」
「文字通り夢、それを見てる人の感情を食べる生き物の事だヨ。
夢って言っても自分のは食べれないカラ……」
「こうやって夢を他の生物の所から調達する必要があるわけだ」
「要するに怪盗のように盗んで、
バクのように夢を食べる生物って訳だネ、夢魔ってのハ」
呆気に取られて説明を聞いていた少女だったが、
次第にその口がニヤリと笑った。
驚きもせずに空を駆けて二人を追いかけていった所からして、順応性はかなり高いらしい。
「『こっちに来るのは禁止されてる』って事は……
私が通報すれば、あんた達は捕まるって事よね?」
その言葉に、ナイは顔をげっ、としかめた。
「な、なに言ってんだ、
普通の警察に連絡したって病院送りが関の山だぜ?」
「夢泥棒が居るんですもの、夢警察だって探せばあるはずよ」
ナイの額に冷たい汗が流れるのを見て、少女は自分の予想を確信した。
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