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「すみません…営業二課の松永 優太さんをお願いします。」
「…アポイントメントはお取りしてらっしゃいますか?」
「いえ…二宮 ユカという名前を言ってもらえれば分かると思います。」
「…少々お待ちください…。」
ユカはふぅ…と無意識に胸を撫で下ろした。
ユウタの連絡先を知らないユカには会社にくるしか手段がなく、それがルリにも知られない唯一の方法だった。
しかし…ユウタの会社は一流と言われる大企業で、ユカたちが働く会社とは比べ物にならないくらい大きい。更に受付の女性はユウタを知っているのか、ユカのことをジロジロ見ていてすごく居心地が悪い…。
「…はい、二宮ユカ様がお見えです。名前を言えば分かると………はい、かしこまりました。
すぐに来られるそうなのでそちらにかけてお待ちください…。」
あんた誰?とでも言いたげな視線を投げてくる女性に一礼して、逃げるように彼女が指した待合所のソファへ向かった。
ユウタが来たのはそんな視線に耐えるのが限界に近付いてきた5分後だった。
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