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陽射しが柔らかく、鳥がさえずり虫がざわめく深緑の森。生き物が生きるのに必死で、ただそこにいるだけで生きる意味がある森。手を伸ばせば生を実感出来る鼓動の森。
アーリーの物語はここから始まります。
この森で唯一生きる意味を知らない生き物がいました。それがアーリーです。
他の生き物にとってアーリーは異質な者でした。誰もが近寄る事を避け、一切の関わりを断っていました。
アーリーは一人でした。生まれてから誰の仲間にも入れなかった孤独を想像した事があるでしょうか?
アーリーにはそれを受け止めるしか出来ませんでした。何故なら自分が孤独である事でさえ誰も教えてくれなかったのです。
心の痛みはそのまま胸の痛みとしてアーリーの体を蝕んでいきます。
そして存在理由を知らないまま森の中を飛びまわっていました。
誰に言われた訳でもなく、決まった道順で森を移動し、最後に森の近くにある城を眺めます。
アーリーにとって城は遠くにある白い塊でしかありません。
それでも日課を変更するすべを知りませんでした。
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