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毎日毎日同じで、また違った物を見つめ、ただただ生きている。
アーリーにとって生は死と変わらない存在だったのです。
ある日、森の中に見たことの無い美しい人間が現れました。
アーリーは思わず目を奪われてしまいます。人間に対し、恐怖以外の感情を抱いたのは初めてでした。
美しい人間は、アーリーが止まっている木の下に寄りかかるように座り込みました。
金色の少し癖のある髪は柔らかな光に反射して、この人間の美しさを際立たせています。
美しい人間は顔をうつ向け何やらぶつぶつと呟いています。
『…俺……興味なん…王位……なんか…』
あまり上手く聞き取れはしませんでしたが、それでも悔しさ苦しさは伝わってきます。
美しい人間は顔を上げ、何も無い所を睨みつけました。彼には何かが見えているのかもしれません。
静かな時間が流れます。風が彼を慰めるように吹きました。
アーリーも風に乗り、彼の様子を遠くから眺めました。決して近寄ってはいけない。自分の意思とは関係無く小さな体が警戒しているのです。
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