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あの頃――私は余りに幼く、罪の重さなんて知らなかった。
虫や、花や、鳥や、魚。
その全てが人間よりも小さいと思っていた。
身体だけではない。
『命』もだ。
まだ私が小学生で、母が入院していたときのこと。
母の病室に美しい羽をひらめかせ、一匹の蝶々が舞い込んできた。
日に当たり淡く輝くその羽が無性に欲しくなり、幼い私はとっさに小さな両手で捕まえる。
「お母さん! 見てみて綺麗だよ」
私は母に満面の笑顔を向けて、何の躊躇いもなくその羽を小さな体から毟り取った。
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