序章。

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長く子に恵まれなかった永良家にその双子が誕生したのは…… 幕府による支配がほぼ権限を失ってから、一世紀が経とうとする頃である。 かつて絶大な支配力を誇っていた幕府の権力は、すでに全くと言っていいほど残っていなかった。 各々の野望が絡まる後継ぎ問題は、大規模な内部争いへと発展していった。 そして戦の末に幕府が得たものは――…… 血に染まり炎で焼け落ちたかつての都。 かつてのものと比べあまりにも小さな国土。 それに無数の髑髏たちだった。 そうしてやがて、戦は地方へと飛び火してゆく。 中央の動揺は、眠れる人々の野望と、人望と、団結力を引き出した。 かくして戦国大名は生まれ、領国は激しい分裂と融合を繰り返しながらしたたかに育っていった。
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