第14章

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「名前は水って言う。 でも、新八が知っている水ではない…」 「えっ? どういう事?」 永倉は、水(翔)の顔をまじまじと見る。 「私は、水と翔の人格が出来る前の… 長州で忍をしていたときの水。 脱藩してから、私に戻ることはほとんど無かったけど… 新八、あなたのおかげで、戻る事が出来たの。 感謝しています」 水は永倉から手を離し、少し距離をとってから頭を下げた。 「えっ、頭下げられても困るよ!! それより、何で戻ったの? 俺、何もしてないよ?」 水は頭を上げた。 「新八は何もしてなくなんてない。 水には、家族の暖かさを教えてくれたし、翔には仲間の大切を教えてくれた。 どっちも、脱藩する時に無くしてしまった物なの。 それを思い出させてくれたから、私も二人も、新八にとっても感謝している。 そして… 今まで、二人が一人の人物に、同じ感情を抱く事は無かった。 今回初めて、二人が新八に対して同じ感情を持ったから、私に戻れたの」 「何で、同じ感情を持つと戻れるの?」 「…それは、二人が一緒になった人格が私だからだよ」 「じゃ…じゃあ、水と翔にはもう会えないの?」 永倉は、悲しそうな表情を浮かべる。
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