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沖田は、土方がしっかりと抱き締めている"動物"にそっと触る。
その"動物"は、気持ち良さそうに眠っていたが、沖田に触られた事で目を覚まし、鳴き声をあげた。
沖田が撫でると、"ゴロゴロ"と言い、目を細める。
(この猫、可愛いですね…)
沖田は、その"動物"(=猫)を土方の腕から奪い取り、抱き上げた。
「…ん」
その瞬間、抱き締めていた物が無くなった土方は、驚いて目を覚ました。
「…す…い?」
土方は、最近"水"ばかりに会っていた為、
また現在、寝呆けている為、
寝る前まで抱き締めていた"翔"の名前ではなく、"水"の名前を呼んだ。
沖田がその声に反応する。
「この猫、"すい"って言うんですか?」
"翔"="水"と言うことを知らない沖田は、"すい"=猫の名前と勘違いし、抱き上げた猫を"すい"と呼んで、撫で始める。
「ニャー」
再び猫が鳴き声をあげた。
その声に反応して、土方は完全に覚醒する。
「総司!!
何でお前、猫なんて連れてきているんだ?
勝手に動物を持ち込むな!!」
土方が叫ぶ。
「えっ?
でも、土方さんが抱き締めていたんじゃないですか!!
しかも、"すい"って名前まで付けてるし」
「えっ?
"水"って…」
"水口のもう一つの名前だろ?"
と言おうとしたが、土方は言葉を飲み込んだ。
(そっか、総司は知らないのか…)
急に黙り込んだ土方を見て、沖田は笑みを浮かべる。
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