始まりのヒトトキ -加納 紗希- カノウ サキ

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しかしこのまま駄々をこねても、里沙の機嫌は悪くなる一方だ。 里沙が私の事を何でも知っている様に、私だって里沙の事をよく知っている。 考えを巡らせていると、ついに信号が点滅し始めた。 他の歩行者が急ぎ足で横断歩道を渡っていく。 焦りで思考が途切れかけた瞬間、土壇場で私に名案が浮かんだ。 「ねえ里沙、今日買い物に付き合ってくれたお礼にご馳走してあげるから!」 ピクッ。 里沙の動きが止まる。
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