始まりのヒトトキ -加納 紗希- カノウ サキ

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ヒラッ 天井から、白い紙切れが舞ってきた まるで存在を主張するかのように、右へ左へと揺れながらゆっくりと落下してくる 一言で言うと、不気味だった 天井を見上げても、エアコンが埋め込まれているだけで、どこにも引っ掛かるような場所はない どこからともなく現れたとしか言いようがない ――そして、紙切れは滑る様にテーブルのちょうど中央に、表向きにふわりと着地し 動きを止めた その瞬間、私の身体に恐ろしいほどの胸騒ぎが駆け巡る この紙は、読んじゃいけない そんな予感がした
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