始まりのヒトトキ -加納 紗希- カノウ サキ

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一番上に、大きく 『BOMBER MAN』 と記されてある。 「ね、アホらしい。くだんないゲームの宣伝だよ。尾野田なら目を輝かせて喜びそうだけど」 そう言われると、少し楽になってきた。 思い過ごしかな… 「おや、まだ残っていましたか」 店員さんが、綺麗な硝子の食器に盛られたアイスを抱えてやってきた。 丁寧に、私達の前に皿を置く。 「お待たせ致しました。ご注文はこれでよろしいですね?」 里沙が、軽く頷いて答える。 「うわあ、美味しそう!」 目の前に盛られたアイスを前に、私の不安は飛んでいった。 今は、このアイスが私の幸せ! 「頂きますっ!」 手を合わせると、すぐにさじを手に取り、まずはキャラメルを頬張る。 里沙も、広告をテーブルの端に置き、ソルベをすくって口に入れた。
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