始まりのヒトトキ -加納 紗希- カノウ サキ

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ハッと里沙に目をむける。 「アンタの勘は昔からよく当たるからね」 そう言って、こちらに軽くウインクをしてきた。 里沙、私に気を使ってくれたんだ。 二人が御手洗に目を向けると、さっきまでの笑顔が消えていた。 何か、思い出したくないことを聞かれたような、そんな顔。 「…実は今朝、同じ物が店中に貼り付けられていたんです」 「店中に?」 里沙が恐る恐る聞き返す。 御手洗さんの表情にただならぬものを感じたんだろう。 真剣な顔つきだった。 私は、黙って御手洗さんの話を聞く。
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