夢の現実は奇なり

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白い壁が続く庭は穏やかで、中央の塔を登ってドアを開いてみれば、そこには美しい川が流れていた。横を見ると家鴨なんかがノコノコ歩いていて、上を見ると重 い天井が俺を押し込めてきた。江戸のお寺には白髭の爺さんが殿様に成り代わっていて、土手の屋台には輪投げがある。街角の本屋にはエロ本しかないし、その横の館にはお化けがいたらしかった。他人の家は狭くって、自分の家は見つからない。駅前は賑やかだけど、雨はやっぱり冷たかった。手にとった漫画は読んだこともないものだったし、積み上げられた辞典たちはいやに軽く感じられる。剣を握る勇気もなく、盛り上がる文化祭にすら出られない。美術室は過ごしやすくて、独りでいるのは楽しいと感じられる。山をバイクで駆けるのは悪くないが、銃を持ってメリーゴーランドに乗るのは初めてだった。追ってくる影が怖くて、すれ違う人が不思議だった。ライブを見ながら階段を駆け上がり、カメラを構えてベンチの下に潜った。遊園地の池は暖かくて、ホテルの非常階段近くでは乱闘だって起きている。被害者は逃げたらしかったが、朝食のパンは美味しくてたまらない。トイレは広くて壁が無く、サウナには化け物もいた。
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