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ウ ン メ イ
〝俺〟がまだ〝僕〟だったころ
両親は交通事故で死んだ。
唯一生き残った俺は
親戚中をたらい回しにされたあげく
施設へと預けられた
小さいながらにして
孤独感と絶望感を味わった
そんな時だった
俺の目の前に知らないオジサンが現れた
その知らないオジサンは俺を引き取りたいと言うのだ
「ぼうや、名前は?」
『…はやと』
「よし、はやと。
お前は今日から結城はやとだ。」
『………。』
俺は正直どうでも良かった
〝お前もどうせ俺を捨てる〟
俺の心は死んでいた
大きな手にひかれ
黒い車に乗せられた
するとオジサンは
ふいに口を開いた
「実、お兄ちゃんだよ」
え?
俺は助手席へと目をやった
そこには小さかった俺よりも
はるかに小さい女の子が
ちょこんと座っていた
それが実と俺の出逢いだった
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