序章

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「艦長、エリア32-48に、フォールドアウト反応を検知!」 「ふむ、おかしいな。交替や演習の予定は聞いて無いぞ。機械の不調じゃないのか?」 「いえ、自己診断では全機能正常です。急な演習ではないですかね?」 「かもしれんな。確認急げ」  これまでこの船団では、小規模なはぐれゼントラーディ艦隊としか遭遇したことがなく、しかも艦隊全体に出動がかかった最後の遭遇戦も5年前であった。更に装備も古く、老朽艦も多くあり、機械の不調も続いていた。その結果、現場の士気も錬度も低く、その為に初期対応が遅くなった。それが長く続く悲惨な悲劇に繋がった。 「……!待って下さい、フォールド反応増大!どんどん増えてる、これは1隻や2隻じゃありませんよ!」 「何!?……しまった、フォールド通信回線開け。艦隊司令部へ緊急連絡だ!急げ!」 「デフォールドしてきます!」  彼らが最後に見たのは、デフォールドしてくる無数のゼントラーディ艦隊と、そこから発せられる攻撃が向かってくる光景だった。
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