29人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、そういえばそんな報告がきていたな。かなり広い範囲にわたる断層だったな」
「はい、あの艦の予定位置ですと、通信が届かないかと。念のために連絡艦を出しますか?」
副官からの提案を、彼はデータを見ながらざっと検討してみた。グリコ32の予定位置への往復にかかる時間と手間を考えると、
「いや、ならばわざわざ艦を出すこともあるまい。他の艦経由でいいから確認させてくれ」
「了解しました。ならあの宙域に近いカルヤ41に――――」
副官が目星をつけた艦に連絡するように言おうとしたが、それは他の声に遮られた。オペレーターの1人が突然叫んだのだ。
「カルヤ41より緊急連絡!」
「なんだ?」
「ゼントラーディの艦隊が次々にデフォールド!数は確認出来る範囲でヌーベルサラン級戦艦他200隻以上、更に増加中とのことです!」
その数は、無視出来る範囲をはるかに超え、対応を間違えれば全船団が全滅しかねない規模であった。
「大艦隊じゃないか! 司令?」
「カルヤ41に離脱命令を!併せて全艦隊に戦闘体制発令、急げ!」
「りょ、了解。デルタ1より全部隊へ、戦闘体制発令、戦闘体制発令!大規模なゼントラーディ艦隊と遭遇した。詳細はデータリンクにて確認せよ。繰り返す、戦闘体制発令!――――」
弛緩していたブリッジにも緊張が走り、各オペレーターが担当部署への連絡を慌てて始める。
「カルヤ41と無人護衛艦からの連絡が途絶えました……」
最初のコメントを投稿しよう!