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会場は熱気に満ちていた この観客はくろが闘う理由を知らない くろを狂ったバカとしか見ていなかったのだ 入場を終えくろとブラックはリングの上で対峙した
ブラックは笑みを浮かべていたが、くろは石のように強張った表情だ。
「赤コーナー2m130kg30戦30KO勝ち、世界WBA,WBCチャンプ、ブラッーク」
「青コーナー185cm105kg戦積不明、くろー」
観客が笑っていた。くろは呟いた。やらなければ完全に0だ。やればわずかかもしれないがチャンスはある。最後まで倒れない。ミケのために。
カーン
ゴングが鳴らされた
「さあこの鐘の音がくろの死の為のものでないことを祈ります」
「ブラックは1ラウンド勝ちでしょう」
解説者が呆れ顔で話す
くろは軽やかなフットワークで距離をとった
「ふふん、最後まで逃げに逃げるつもりだな」
ブラックはほくそ笑むと突っ込んできた
さすがチャンプだ スピードもある
ブラックのフックを交わしくろは一発だけジャブを入れすぐに離れた
多少逃げになってもかまわない。倒れるわけにはいかないんだ。くろは距離を取り脚を使って逃げていた
観客からブーイングが起こった
「逃げ足はなかなかだな」
ブラックはじわじわと迫りワンツースリーと放った ワンツーはよけたもののスリーの左フックにかすったのだ くろの顔は切れていた かすっただけでも凄まじい
次の瞬間だった 今まで生きていた中で感じたことのない鈍さを味わった
ブラックのストレートをもろに喰らったのだ
「あー、これでくろ選手終わりましたね」
くろは倒れていた
「ダウン」
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