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……
…アハハ
ワ~♪
……ガヤガヤ
階段を上がり校舎に入ると、廊下へと響き渡る笑い声や叫び声があちこちから放たれている。
新しい環境にみんなが興奮しているのが分かる……。
「3階……遠いぃぃ……疲れたぁ」
階段を登り終えた時、トモが顔をしかめながら口にした……。
「アハハ♪」
そんなトモの言葉を流すように笑うが、無下に扱った訳ではない。
進んでいる途中、廊下の先でボンヤリと見えていた人影に何故か気を取られ、そこへと再び意識が集中していたからだ……
恐らく廊下の先にある塊……
4……5人は居るだろう、“人の姿”とハッキリと見える訳ではないが、明らかに“見られている”と言う視線を強く感じ取る事が出来た。
「??」
このなんとも言えない異様な視線に気を取られ、トモから吐き出された言葉はその後も聞き流されていた……
……
…
------
ガラッガラ……ガラ♪
なんとも動きが悪く、スライドしにくいドアを開け教室の中へと入る……。
ここが1年4組
事前に貰っていたプリントには“机に名前が書いてあるので、そこに着席して下さい”……そんな事が書いてあったのを思い出し、自分の名前を机に探し始める……。
「コウ!」
少し先に居るトモからの呼び掛けに顔を上げると、笑顔で手招きをしている。
“また”俺より先に見付けたようだ
……
「ここ、ここ♪」
笑顔だけじゃない、やたらと声も弾んでる
どうやらこの席順“あいうえお順”になっているらしい……。
さ、し、す、
サイトウにスズキ、この2人の間に入る“シ”の付く苗字の人が居ない為、席の順番が並んでいる……
この席順が、同じクラスと言う喜びにプラスアルファーされ、更にトモを上機嫌にさせたらしい……。
「コウ!トモ!」
並んだ席に座るのと同時に聞こえて来たこの声……
声の元を探ると、そこに居たのは小学校3年の時から6年生まで同じクラスだった2人の女子
“リョウコ”と“シホ”だ
「うわっ!なんだよ!お前らも同じ?!最悪だ~」
二人の顔を見た途端にトモがそう吐き捨てる……
さっきのボードで確認してなかったのか疑問に思いながら……トモから視線を外した
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