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……
ピピ……
……ピピ!
音の位置を耳で確認すると、必死に片目を開き、時間を確かめながら目覚ましを止める……
ピ……ポ……ポ…ポ……ンポンピン!
しまった!!
そう!昨日トモと決めた待ち合わせの場所、そこに現れない為、わざわざ迎えに来たのだろう
そう思うと布団から跳び起き、支度をしながらインターホンを取る
「ごめん!先行ってて」
学校までは歩いて約45分……距離はそれなりにある……
寝坊をした事で、走らなければおそらく遅刻……
春の爽やかな風に気付く暇もなく、真っ直ぐ昇る坂を走り続ける……
トモの姿が見えてから、追い付くまでの距離もなかなか縮まらない……
「フヒィ……はぁはぁ……追い付いたぁぁ」
「あ~おはよ……朝から疲れんねッ」
トモからそんな冷た~い言葉と嫌いなマラソンによって、一気に疲れが出る……
今日で入学2日目、昨日の夜、なかなか寝る事が出来なかった為、少し予定にはなかった運動をする事にはなったが、無事に学校の校門を潜る事が出来た
朝からのマラソンによって、昨日以上に遠く感じる教室にたどり着くと、昨日の話題がまだ続いていた
俺の耳にも自然と入って来るが、その会話に参加するつもりはない
……
そんな会話の横を通り過ぎ、席へと着いた、その時!
!!
俺の背中で、激しい音と同時に激しい痛み!
「目ぇ覚めた?おはよッ♪」
リョウコだ……
あの長い坂を走り、震える膝で長い階段を昇り、ようやく辿り着いた自分の席……
ホッとしたのも束の間、リョウコからの痛い歓迎……
『今日は朝から散々だ』と、叩かれた背中がビリビリと嘆いている……
いつでも俺達に遠慮はしない……
リョウコはとても素直な女の子だ……
朝から、そんな激しい洗礼を受けた直後、建て付けの悪い教室のドアが、勢い良く激しい音と共に開け放たれた。
ズカッンッ!!
この音に教室は、一瞬で呼吸の音すらないように静まり返る……
この静けさを作りだした、おそらく先輩であろう、3人が教室へと周りを威嚇しながら、教卓へと向かいゆっくりと歩き出す
「……オイッ!このクラスに!スズキっての居るか?……スズキ!コウタ!居るかぁ?」
3人の中の1人が発したそのセリフに、トモ、リョウコ、シホ、そして周りの人々が一斉にこっちを見ている……
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