~旅立ち~

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  『あ……っぅあっ…』     街の住人がここまで逃げてきたのだろう…… 着ているものはボロボロで賊に襲われている。 今にも殺されそうな状況だ     『いゃだっ…まだ死にたくないっっっ……』   『はやく母ちゃん達の元に送ってやるよ。これは俺達の優しさだぜ?あっひゃひゃひゃひゃっ』     賊が剣を振り下ろした瞬間、風が吹き荒れ賊は崖から落ちていった…     『…え?』   目の前に男の人が立っていた。 綺麗な銀の長髪に恨みと哀しみがこもった朱い瞳の長身の男の人… だけど人とは耳の形が違う…爪が尖ってる。 人と似て異なる者…   『…キ…メラ…』   『………』   その男は否定もしなければ肯定の意も示さない…… もしそうならさっきの風…… 僕を助けてくれた…? どうして? キメラなら人を襲うって…   『……帰れ………』 低い声で僕にそう告げ、去っていった……   どうして…? 僕を殺さないの……?     僕はずっとそのキメラの男を見送っていた……     賊が街から出ていったのを見計らって街に戻った。 めちゃくちゃだ……家も人もなにもかも…   父さんも母さんも死んじまった…… 僕を守って……   涙が出そうになった時、誰かが僕の肩に触れた       『ノエル…!生きていたのじゃな…よかった…お前だけでも生きていてくれて…』   『長老…!?』   街の長老だった。   長老の話しによると街は全壊、生き残ったのは僕と長老と4人の男だけだった…   僕はさっきの出来事を長老に話した。 すると長老は急いでここから離れると生き残りを引き連れてでていった。   けれど僕は街に残った。 贄が必要だといったから…   あの4人は兄弟だし、長老は必要だ。 あの中で僕が抜けるのが一番だと思ったから自分からここに残ると伝えたんだ……   驚いていたけど長老達は生きるためにこの街からでていった。 僕に礼をいいながら………
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